Flydalsjuvet

☆Flydalsjuvet  (high-energy CPJ)〜フリダルスユーヴェ

フリダルスユーヴェは、楽器の指定よりも、質感を優先したCPJの中のコンセプトです。
比較的アップテンポでクールな質感の新しいCPJです!
アコースティックなJyväsjärviに対して、エレクトリックで軽快なジャズで、インプロヴィゼーションを中心に考えています!


61.FJ001.Flydalsjuvet (Geirangerfjord, Norway) video
62.FJ002.Kingfisher (Bovec, Slovenia)video
63.FJ003.Past Dospat Pass (Доспат, Bulgaria)video
64.FJ004.First Fast Jive (Lake District, U.K.) video
65.FJ005.Jump-start Japan (橋杭岩, Japan) video
66.FJ006.Oravsky Castle (Orava, Slovakia) video
67.FJ007.Rocca Resort Samba (Кърджали, Bulgaria) video
68.FJ008.Bakarska Konoba (Bakar, Croatia)
69.FJ009.Artistic Compartment (København, Denmark)  video
70.FJ010.Jellyfish (小土肥, Japan) video

 


☆☆☆Flydaslsjuvet20240128

 


Flydalsjuvet @ Keystone Club TOKYO

フリダルスユーヴェ〜 四刀流ジャズマン松井秋彦の未来音楽CPJの中の厳選10ジャンル100曲のFJJ〜Future Jazz Japanの中のコンセプトで、最も快活で元気なインプロヴィゼーションを中心にしたエレクトリックジャズのコンセプトです!
他では聴けない珍しいサウンドを是非お楽しみください!
1月28日(日)六本木キーストンクラブ東京
〒106-0032 東京都港区六本木7-4-12 ジャスミンビル2F
 03-6721-1723 都営大江戸線六本木駅下車 出口8(B2F) 徒歩約2分
開場18:00 開演19:00 前3,500 当4,000
松井秋彦(作編曲・Drums)
道下和彦(Guitar)
酒井美奈子(Piano)
佐藤慎一(Bass)
CPJ Mujik Official Site    www.graphic-art.com/cpj/

 

 


 

321


※フライヤーより前倒しとなりました! ↓ 4/23 開場17:30 開演18:00  (〜20:00)

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松井秋彦fjord CPJの7番目のコンセプトである
Flydalsjuvet フリダルスユーヴェは3月20日(金)!
爽やかな曲や、ちょっとヘンな曲を取り揃えてお待ちしております。こんな世の中なので、そんなに至近距離に人がたくさん、、、なんて状態じゃないと思いますので、
お家で悶々としている人もぜひ(でもいちおうご予約の上)
息抜きにいらしてください!
ガチっと強力なサウンドで元気でると思います!
Flydalsjuvet 〜フリダルスユーヴェ@Keystone Clubの楽曲は松井のfjord CPJ100選の60番台の『軽快で聴きやすい』曲です!
なかなか日程合わないメンツですので、ぜひおこしください!
3月20日(金)
Flydalsjuvet 〜 フリダルスユーヴェ
@六本木 Keystone Club TOKYO
松井秋彦(Piano, Keyboards)
道下和彦(Guitar)
佐藤慎一(Bass)
嶋村一徳(Drums)
開場18:30 開演19:30 前売3,500 当日4,000
CPJ Mujik http://www.graphic-art.com/cpj/
Keystone Club TOKYO https://keystoneclub.tokyo
フリダルスユーエとは、ノルウェーのガイランゲルフィヨルドを見渡す展望台〜 ここから見える至高の風景のイメージ曲を含めて、fjord CPJ60番台の楽曲を総ナメして演奏する所存です。タイプ的にはfjord CPJの1〜40のような比較的ストレートなCPJに相当する楽曲群で、CPJの中では快活で明るく聴きやすい境地でしょう!


61. FJ001. Flydalsjuvet

                                   Geirangerfjord, Norway

「今日はBergenの街に行かれるんですか?」

Bergenの郊外にあるこじんまりしたモールに入っている北欧の食器屋で、

Finlandiittalaのマグを見ていると、

人懐こい店員のお姉さんが聞いてきた。

『そうですね。北欧をずっと周ってきて、Bergenから日本へ帰るところです。』

「じゃあ、Bergenのケーブルカーがおすすめですよ!」

It’s fascinating!

それから30年程前か、

実はそのケーブルカーである「Fløyfjell」に乗って、

Bergenの町を見渡す高台に出た時だった。

二人の年配の男性の友達同士が自分の前で絶景を捉えながら、

思わず英語でそう言って感慨にふけっていたのをふと思い出した。

『あ、そのケーブルカー、大昔に乗った事あります!』

「夜景が更にいいですよ!」

『そうでしょうね。なんとか今回も時間があれば乗ってみたいです!』

フィヨルドの玄関口とも言える美しき港町Bergenで車を借りて

今回のフィヨルドの旅は始まったのだ。

大昔にPreikestolen(Pulpit Rock)の頂きを極めて、

天空から覗いたようなLysefjordの至高の絶景を最後に、

まだ出会っていなかったあらゆるフィヨルドを

捉える旅。

雨が降りしきるBergenの町を出て東に、

まずはよく名前を聞くことがあったHardangerfjordを目指した。

雨なのもあって、

所々で見える滝が荒れ狂わんばかりに、

轟音を立てている。

降水量の極端に多いこのノルウェーの西海岸だからこそ、

フィヨルドが専門なはずのこの国は、

意外に名爆の宝庫でもあることに気がつきながら、

まるで湖畔の装いであるHardangerfjordに遭遇した!

冴えない天候ながら、

そのまま湖畔ならぬフィヨルド沿いを北上していると、

霧が少し遠のいて、

強烈な陽が射してきた!

まだ水面に居残る霧の残骸がいい装飾品になっている状態で、

陽の光が明るい色合いを醸し出して、

絶妙な調合のスパイスの乗った、

Hardangerの味わい深い景観を織りなしてくれた。

これは、最初のフィヨルドから、

このフィヨルドハンターのおれへの、

大歓迎の兆に違いない!

なんせ、直前まで大雨で、重たい空がのしかかっていたのだから。

そして美しい虹だ!

巨大なフィヨルドであったhardangerfjordを、

北に抜けるあたりにある小さなフィヨルド、

Granvinfjordに着いた時に、

鮮明な虹が待っていた!

虹ってやつは、

それまで鬱屈した空気にいた人々へのプレゼントのようだ!

Granvinfjordから道は内陸に入る!

しばしフィヨルドとはお別れになる。

しかし!

フィヨルドに全く引けを取らない絶景が左に見えてきた!

これはフィヨルドではなく湖だ!

Granvinvatnetという湖で、

見事なまでにあたりの緑と、

巨大な奇岩と、

麗しい空と雲を、

正確無比に映し出す、

珠玉の絶景がそこにあった!

ノルウェーは、

本業のフィヨルドのみならず、

名瀑でも、鏡映する湖でも、

あらゆる水景色の宝庫だ!

さて、内陸を更に北へ向かうと、

轟音を立てて、何重にも連なる滝、

Tvindefossenが見えてきた。

特に豪雨の直後だったせいか、生涯見た中で最も鮮烈な流れだ!

そう、内陸に入ったら入ったでノルウェーの水景色の布陣は休むことなく魅了してくれる!

その後、内陸部を更に北へ突き抜け、

大昔に鉄道でたどり着いたことがあるFlåmに着き、その奥のAurlandsvangenにて投宿した。

そこはかなり内陸まで入り込んでいるフィヨルドの中でもかなり風光明美な、Aurlandfjord沿いのホテルだった。

「Nærøyfjordのことは知っていますか?」

ある意味あらゆるフィヨルドの中でも飛び抜けている方であるAurlandfjordに着いてすぐに他のフィヨルドのことを、

しかもアウルランドのホテルの人から聞くとは意外だった。

『いえ、聞いたことないです!』

「ここからフェリーが出ていて、アウルランドから折れて左に入ってゆくところのフィヨルドなんです。数あるフィヨルドの中でも最も狭いことで知られていて、美しいですよ!」

Nærøyfjordという美しいスペリングと言い、

周りが急峻な山岳に囲まれたロケーションと言い、

惹かれることこの上なかったが、

自分の最終目的地はガイランゲルフィヨルドを見渡すFlydalsjuvetなので、

翌朝はそのままAurlandfjordを見渡す山を越えながら、

その途中にあるStegastein展望台から、アウルランドの全貌を見渡した。

このアングルもなかなか得られないような絶景だ!

こういう絶景に差し掛かった時だけ、

朝日が明るく照らしてくれて、フィヨルドにそったAurlandsvangenの集落に点在する家々とともに、

フィヨルドがたっぷりと湛える万年凪の海水を照らし、

この世と思えないような光景を誇示してくれた!

Sognefjordをフェリーで渡り、

Vetrefjordを掠め、

Færlandfjordを巻いて、

あらゆる風景を眺めながら更に北上した!

『こんな桃源郷のようなところが世の中にはあるんだ!』

と、学生時代に見た写真がずっと目に焼き付いていた

Flydalsjuvetの展望所から、Geirangerfjordを見渡す光景を目指して。

やはり標高は上がって来る。

ごつい岩山の風景が続き、

それを凌いで行くと、

とうとう現れた!

Flydalsjuvetだ!

あらゆる奇跡的絶景を齎すフィヨルドの中でも、

奥座敷に構えるガイランゲルフィヨルドと言えば、

気品あふれるフィヨルド界の重鎮だ!

ある意味、フィヨルドの旅の最終幕としてふさわしい地点だ!

そのガイランゲルを、

最初に南から拝むことができるのが、

フリダルスユーヴェ展望台であり、

それはニュージーランドのサウンド(フィヨルドの意)の中でも奥座敷である

Doubtful Soundを峠から見渡した光景とそっくりであった!


 62. FJ002. Kingfisher

         Soča, Slovenia

「ソチャ渓谷か?そんなところに行くなら、この近くの滝の方がよっぽどクールだよ!」

そう言い放ったのは、

おれが初めてスロヴェニア入りして投宿したコバリッドの村の宿の若い男だった。

そういう彼の宿もなかなかクールなものだった。

カジュアルながら清潔感に満ちた新築の広いクールな家の部屋を、

お客さんに解放しているような感覚に、

でも最初から宿にする想定で作っている。

旧共産圏の東欧所国でも、完全に経済が自由化されてからは、

振興ビジネスとしてこういう個人的な感覚のペンション風の宿がだんだん増えてきている。

その彼は、このコバリッドという村に思い入れがあるのか、

ちょっと離れたボヴェッチやソチャ川、トルミン渓谷、ボーヒン湖やその近くのスラップサヴィカ滝などには、

ちょっとした対抗心を持っているようだった。

その旅の時も結局ソチャ川のターコイズブルーの水面を堪能したが、

数年後も、なんとなくあの山の奥深さの中の幻想的な水景色を捉えに、

今度は、コバリッドよりも更にソチャに近いボヴェッチの町に投宿して、

本格的にソチャの美しさに触れることにした。

ソチャの渓谷に沿って遡上する道と、時折り交わるソチャの、カワセミのようなエメラルドグリーンの色合いと、

そこに時折かかっている吊り橋からの風景と、

川沿いの凛とした木々と、

河原の砂利と、

その先に見えるユリアンアルプスの稜線がもたらす、

自然が完全に時空を支配している境地は、

至高のソチャ美学を揺るぎないものにしていた。

しかも、人間には忘れ去られているような、

ありのままの自然が残っている。

その後訪れたその近くのボヴェッチという小さな町は活気に満ちていた。

ソチャ川の自然へのアプローチも良い、

ソチャへの発信基地としては、

こじんまりしたほのぼの感もある中で、

清潔感もあり、

あるお店では自分で制作した美術作品を中心に売っていたリ、

喫茶店のお姉さんは自然な雰囲気で近所の高齢者のお客さんの愚痴も聞いて和ませていたり、

オープンカフェの外の席からは、町の建物の背後にユリアンアルプスの名峰が町を見守っているのが見えたり、

ソチャへの発信基地としての情報資料館のようなところもあったして、

町としてのあり方が理想的な桃源郷であった。

こんな町にでも住んで、

好きな時にソチャの渓谷をめぐることができたら、

それはまた面白いだろうという想像を巡らせてみた。


63.FJ003. Past Dospat Pass

                             Доспат, Bulgaria

 

「このタイヤはかなりいいぜ!これを装着しよう!」

ソフィアの修理工場の若い兄ちゃんは勢いよくそう言った。

このソフィアの街中の修理工場に来たのも、

ブルガリアに着いてすぐに借りたレンタカーが、2日目にはパンクしてしまったからだ。

どうにかここを見つけたはいいが、

次々にやってくる客で、

たった一人しかいない修理工の彼はてんやわんやだ。

直前の客が片付いたと思ったら、

なんだか呑気な近所の中学生ぐらいの女の子が自転車を持ってやってきた!

彼はそれを先に相手し始めたではないか?

しかも、彼は自転車まで守備範囲なのか?

でも、その近所の子供の相手も真摯にやっている彼を見ているとなんだか許せる気持ちになってくる。

さて、おれのパンクを見て、

山のようになっているタイヤの中からいいものを見つけた彼は、

良いと言っていたタイヤを、

装着する直前に、

「やっぱりダメだこれは、ゴミだ!」と言って他のタイヤを探し始めた。

なんということだ。

ブルガリアには中古のタイヤしかないのか?

よくよく考えてみるとブルガリアに到着してからというものの、

ベンツやBMWなどのいわゆる高級車は多く走っているものの、

どうやらそのほとんどは西側諸国から流れてきた中古なのだ。

そして、タイヤに至っても、中古が常識なのか、

その修理工のところで山になっているのは全て使い古されたタイヤで、

なかなか良い状態のものが見つからないのだ!

そんな中で、彼はどうにか妥協点なるタイヤを見つけて装着してくれた!

ところが!

その後南部のリラ山脈の方のバンスコに向かい始め、

高速に乗った途端に、

タイヤから変なノイズが走った!

嫌な予感は的中し、

高速道路の脇に車を停めざるを得なかった。

しかし、そこからがすごい!

ヘルプを求めて手を振れば、

まず最初の車が当たり前のように止まってくれて、

降りてきた男2人がすごい機動力でスペアを装着してくれる。

ある意味、こういうことはこの辺じゃ日常茶飯事だってことなんだろう。

そして、

「この辺で降りてどこかでちゃんとしたタイヤに替えてもらおう。」

と言って2人は親切にもガイドしてくれる。

結局、まだソフィアのやや南の町、

ブラゴエフグラッドで高速を降り、最寄りの信頼できる修理工のところを訪ねた。

すると、なんだかきさくで品のいい夫婦に出会い、その夫の方が、

「パンクで困っているご様子ですね?」

と話しかけてきた。

『はい、ソフィアに来てこれでもう2回目のパンクで、なんだか不安な気持ちになっています。』

「そうですか?私たちはここの整備士をよく知っていますから、彼に最善を尽くすように言ってみます。」

と流暢な英語で言った。

『あなたは英語圏の方なのですか?』

「いや、私たちはイギリスに長く住んでいたのです。」

『それは本当に助かります。なんせ自分はブルガリア語は本当に初心者なので!』

イギリス帰りの夫婦が相当ちゃんと念を押してくれたのか、

もう2度とパンクしなさそうなタイヤを、修理工は装着してくれた!

それでもやはり中古ではあったが。

タイヤは天下の回りものなのだ!

お陰で、リラ山脈の麓のリゾート地であるバンスコに無事辿りつき、

なんともポジティヴで明るい雰囲気の宿に投宿した。

フロントのスタッフは洗練されていて、

食事も素晴らしかった。

パンク続きで少し安堵感が得られたバンスコからは、

ロドピ山脈の方のデヴィンへ向かって更に山中を走破することになる。

バンスコで少し雪がちらついていたが、

もう行くしかない。

デヴィンへ向かう山道を、

途中の、湖があるドスパットへ向かって走り始めた。

もうブラゴエフグラッドで出会った気立てのいい夫婦のお陰でパンクなんかしそうにもないタイヤを履いているので、安心して山中を走破していると、

なんと、

パラつくぐらいしかしていなかった雪がどんどん降り始めた!

それもかなり急激に!

しかしもうかなり標高も高いところに来ていて、まだ道は登り続けているところで、峠はこの先にあるのだ!

山中の登り坂で、

突然降り出したドカ雪で、

道が全く見えなくなった!

まだ峠に差し掛かっていない中、

ハンドルがとられ始め、

しかし容易に引き返すのも難しい狭い山道。

とりあえずもう峠を越えるのを信じて進むしかない!

雪道を左右に滑りながら爆進すること数十分、

雪の中で脇から合流してくる道があり、

合流したところで停車している車があった!

そこで車を停めて彼らに話しかけた。

『この先はどうなってるんだい?

もう滑りまくって困ってたんだけど、町でもあるのかい?』

ややこしいことだと英語になってしまうせいか、

彼らは何も答えず、そのまま車の中にいる。

どうやら、彼らも立ち往生して困っているところで、どうにもならないのだと理解して、

そのまま進むことにした。

どうやらそこが峠だったらしく、

そのあとはやや下り坂になった。

しかも、そんなに急な坂になっていなかったのが幸いして、

そんなに雪に滑ることもなく下り始めると、

途中で何台かの立ち往生している車に出くわし、

雰囲気を見ている限りそれも含めて日常茶飯事な雰囲気だ。

そして下り坂で除雪車に出くわした!

除雪車の脇で交通整理をしている人が一人出て来て、これで安心だと初めて解放された!

程なくして、

完全に雪に覆われたドスパット湖を臨むドスパットの町に無事到達した!


 

64.FJ004. First Fast Jive

                                   Lake District, U.K.

「え~っ、じゃあ、フランス人は一生に一度もHの音を発音しないの?」

イギリスの湖水地方の玄関口であるウィンダーミアの中心部にあるカフェで寛いでいると、

やたらと明るい女性の店員が、イギリスにアルバイトに来ているフランス人の女学生のお客さんと話している中で、

めちゃめちゃウケていた!

「そうですよ。フランス語では、hが書いてあっても絶対に発音しないので、一生発音しないです。」

とフランス人は続けた。

あまりにおかしかったので、横から口を挟んでみた。

『はは、自分はフランス語の勉強始めたところだけど、hどころか後ろの方の音はほとんど言わないしね。でも、英語でも、

結構Hを言わないけど、自分がいたアメリカでは少なくとも。hourとか、人によってはherbなんかも。しかも他の言葉の後に来るとtell himは、tellimtell hertellerとかね。』

「あら~アメリカにいたのね。道理でちょっとなまってると思ったわ~。」

愉快な店員が言うので、

『そりゃあたぶんいつもイギリスの人は米語をAmerican Accentって言ってるのは知ってるよ~』

「ははっ、そうなのよ~私たちは由緒正しいクイーンズイングリッシュですからね~おほほっ。」

と、更に年配の他の店員のおばさんも、他の席を掃除しながらそこだけ口を揃えた。

しかし、やっぱりアメリカ英語に親しんでいる耳で聞くとどうしてもそのクイーズイングリッシュがものすごいなまりに聞こえるから笑える。

主観と客観の乖離は目を見張るものがあるが、

それを超えた「絶対的な価値観」、というものがないのだろうか、

と思っている。

米語でも一部は垢抜けないと思う音がある。

アメリカのボストンからちょっとCommuter RailRockportへ向かうときの女車掌が叫んだ、

Manchester」の響きはその極限であった。

ManchesterMaaの音をすごく引っ張り、

「ミイヤァァ~ンチェストゥア~」

と引っ張りまくり、日本の名古屋弁のようなサウンドを繰り出したのである。

しかし、そのような例外はあるものの、

「速くて引っかかりのない透明感のある」基本的な米語のサウンドは、

絶対的にも英語よりも垢抜けて聞こえるという気がするのだが、、、、、。

まあそれは、よく音楽で思っていることにかぶる概念ではある。

本当の意味での、

「良し悪し」

は考えれば考えるほど絶対的なものではないのだ。

一人の人間の感覚の中でもそれは変遷を遂げるぐらい不安定なものだ。

『なんだか外にウサギが走っていたように見えたんですが?』

これは湖水地方の中でも、本当に意外なことにダム湖であるらしいが荘厳な異彩を放っている

Thirlmereという湖のほとりにある古い宿で夕食の時にウエイターに訪ねた。

「このあたりには確かにたくさんのウサギがいますね。おそらくそれはウサギだったと思います。」

中世の雰囲気を限りなく残した歴史的建造物の宿は、夜には深閑として、

Thirlmereのほうにある広い庭園をただただ見渡す窓があり、

辺りには物音が全くしない。

まるで物語の中に飛び込んでしまっているような錯覚を覚えるような時空である。

それでも、そこから昼間になって町へ出ようと思えば、

車で数十分のところには、

Keswickの町がある。

Keswickは洗練された町で、お洒落な美術館のようなカフェもあれば、

かなりユニークなマーケットではかなり個性的かつ芸術的な品々が販売され、

中には、Vegan CafeVeganなバーガーを出しているところもあり、

かなり近代的で、

活気に満ちたパワースポットであり、

湖水地方のあらゆる湖沼からの距離が絶妙であった。

なので、

Derwent Waterの湖南から奥深く山中に入ったところにある宿に泊まった時も、

山中を歩いて、

Derwent Waterの中で全くひとけのない船着場からフェリーに乗って、

やはりKeswickに出て買い物をしてきたものだった。

Derwent Water付近のその宿は完全に森の中にあり、

深閑とした時空の中で、

まるで個人の家に住むような感覚、つまり日本で言えば民宿のようなところであった。

こんな静かなところに住んで、

山の中を歩いて、

Derwent Waterの湖畔の、

誰もいないような船着場に行って、

Keswickの町に出て、

ファンシーなものが並んでいるあらゆるお店を見て、

たまには文明に触れるのもいいのか、

と思うような生活をするのは、

非常に優雅なことだと、

思いを巡らせるのには相応しい時空を創造してくれる場所だった!

その後、自分の中では一番惹かれる湖沼、

忘れ去られたLows WaterButtermereWast Waterなど、

素晴らしい自然の中の水溜りに接することができた。

そう、、、水溜り!

ある意味あらゆる湖沼は、

単なる淡水の水溜りなのだ!

この湖水地方においての究極の水溜りは、

有名なWindermereでもなく、

Conniption Waterでもなく、

Wast Waterの、

完全なる自然の水溜りなのだろう。


65.Jump-start Japan

         橋杭岩,Japan

「このへんで取れたみかんです~。よろしければ、、、。」

何もかもが激安な、

きさくなマスターがやっているカフェレストラン「ケープタウン」は、

紀伊半島の南端あたりの絶景、橋杭岩の目の前にある。

それでなくてもなんでも安いのに、何かあれば余計にタダで出してしまうし、

朝早くからやっているのだ。

渓谷が好きで、

更には飛び地が好きな人間にとって、

瀞峡辺りはなんとも興味深いものだ。

三重県と和歌山県と奈良県の三県に接している三県境が五ヶ所もある!

というのも、瀞峡の近くには飛び地がちょこちょこあり、

それらの飛び地との県境を全部カウントするとそういうことになるのだ。

中には和歌山県の北山村のように、村全体が飛び地としてすっぽり三重県に入っている村もある!

伊豆半島も、もともとは島であったぐらいに、なんとも魅惑的な半島だが、

紀伊半島はそれをまた巨大化して奥深くしているような存在だ。

内陸には丸山千枚田のような見事な棚田もあれば、

布引の滝のように糸を引くようにまっすぐな特徴的な4段滝や、

楯ケ崎のような芸術的な柱状節理、いずれの半島も自分の好きな湖沼にこそ恵まれないが、

様々な驚きに満ちている!

そんな中でも、一番異彩を放って輝かしく、誇らしく、紀伊半島の南端に錨のように鎮座しているのが、

橋杭岩だ!

ある時、車でかなり紀伊半島を巡ってからたどり着き、

ちょうど大晦日となったので、

この橋杭岩の奇岩の絶景の見える海沿いに停めて年を越した。

おそらくグローバリストにどんどん騙されているせいで、

ここのところなんだか元気のない日本に、

なんとか盛り返して、

活気のある国に戻ってほしいという願いを込めながら、

橋杭岩の絶景を眺めて新しい年が明けた!


66.Oravsky Castle

       Orava, Slovakia

『ここから先の山道、雪でも抜けられそうな道ですか?』

なんとなく嫌な予感が的中してきた。

スロヴァキア北部から山越えしてポーランドへ向かっている時だった。

スーパーに寄って車に戻ったときに、

少しづつ雪がちらついてきた。

ブルガリアの山中での大雪の悪夢が脳裏にちらついてきた。

まさにこれから山越えするという時にこの雪が酷くならないといいが。。。

果たして、

予感が的中してきたか、

山が深くなるに連れ、

雪が強まってきた。

ちょっと不安になりながら、

ひとけのない山道で、

小さなブースでお菓子を売っている女の子がいるのを発見して、尋ねてみたのだ。

しかし、自分はスロバキア語はほとんど喋れないので英語で言ってるので全く通じない。

少女は懸命に理解しようとしてくれてはいて、困ってるんだなぁ〜という表情をしてはくれるものの、ジェスチャーでも通じず、やはり通じないまま、その場を去って直進を続けた。

それから更に山道に入ってゆくと、

突然脇から男が出てきて車を止めるではないか?

「ここは40キロ道路で、あなたは50キロ出していた。違反なので、取り締まらないとならない」

というようなことを、カタコトの英語で言ってきた。

彼は緑の服を着ていて、

そもそも本当に警察なのかも疑わしいが、

比較的ちゃんとした罰金の請求書を出したのと、ここで争っている暇はないので、すんなりと罰金を払いながらも、

『ここから先の雪はどうなんだい?大丈夫なのか?』

と聞いたが、

やはり解してくれなかった。

こちらからすれば、ここで50キロ出しても事故を誘発するとはとても思えない山の中なので、突然山賊に襲われて金を奪われたような感じだったが、、、。

今恐れているのは雪なので向こうには好都合だった。

さて、その後足早に北上してゆくと、どうやら酷い雪には見舞われず、そんなに標高も上がらないうちに峠らしきものを今回は無事に越えたようだった。

ブルガリアの時の山中のドカ雪を経験したことで、羹に懲りて膾を吹いたような感じだ。

そしてたどり着いたのが、まだスロバキア側ではあるが、

この不気味な山越えの道の最後を締める、

これもまた不気味なお城、

オラフスキー城だ!

高く聳える茶色の変形の城が、コウモリが飛び交いそうな面持ちでそこに鎮座して、不気味な旅の一日を送った旅人を歓待してくれているようだった。


67.Rocca Resort Samba

           Кърджали, Bulgaria

「うーん、それはブルガリア語では、そういいませんね〜」

お馴染みの若いウェイトレスは先生口調になってそう言い放った。

なるべくブルガリア語で話し、

わからない言葉は聞いたりしながら言葉をどうにか覚えながら旅をしていたある日々、

南部のトルコ国境に近いクルジャリの町からちょっと外れた、

誰も知らないような湖が見える宿で過ごしていた。

湖以外には何もなく、

なにもすることがない!

そんな中での何日か、

ただ腹が減ったら併設されたレストランに毎度行くしかないので、

ウェイトレスとも大分顔見知りになっていて、毎回ブルガリア語を正してもらっていた。

周りは全くひとけがなく、

散歩をしてる人も滅多にいない。

静けさと、

湖と、

ただただ、何かをここに食べに来て、

ビールやコーヒーもここで。

それしか選択肢のない、

完全に隔絶された環境だ、

普段はどうしてもやることを詰め込んで、

ライブと、レコーディングと、リハーサルと、レッスン、それ以外の時間に練習と、言語などの勉強、そして他のことの勉強、、、

となって来ると、

交感神経が完全に優勢になっている。

そこから見ると、

なんとのんびりした贅沢な時間だろう。

完全に頭が休まってきて、

いろんなことがどうでもよい感じになってくる。

『今日は一日なんにもすることがない!』

 


 

68.Bakarska Konoba

        Bakar, Croatia

 

アドリア海に沿ってクロアチアの西側を、

リエカを過ぎて南に奔走していたときがあった。

リエカは伊豆半島で言えば熱海のような位置付けの大きめの街だが、

うっかりなのか、

わざとなのか、

わからないけど、

すでに通りすぎてしまっていた。

標高の高い道からアドリア海を見下ろすようにして快適なドライブをして、

クロアチアの南部へ向かっていたとき、

ふと、眼下に魅惑的な小さな漁村が見え、

しかもそこへ向かってまるでジェットコースターのように急展開して降りてゆくループ橋が見えた瞬間、反射的に吸い込まれるように、螺旋状の急降下を始めた!

絶景がぐるぐる回転して、

あっと言う間に隔絶されたような漁村に降り立った。

そこは今さっきまで知らなかった、

一生訪れることはないはずだった、

バカールの漁村だった。

海沿いの唯一のオープンカフェではいい感じに人々が寛いでいる。

その隣には唯一のレストラン、

バカルスカコノバがあった!

コノバは、クロアチア語で、レストランの意味で、バカルスカは、ここの地名であるバカールの形容詞形だから、つまりは、

バカール食堂だ!

それは地形が似ている伊豆に例えて言ったら、

「網代食堂」

という感じだろう。リエカが熱海ぐらいだとしたら、

バカールは熱海の少し南の網代のような小さな漁港だからだ!

その、クロアチアの網代食堂で、

アドリア海を眺めながら、

予定外の食事を摂るとこにした!

旅は流れが重要だ!

あの奇跡のループ橋がおれを呼び込んだんだから!

 

 


69.Artistic Compartment

           København,Denmark

コペンハーゲン駅のプラットフォームで、

ある背の高いやつが列車を待ちながらジャグリングの練習をしているのに気がついた。

なんだか、そういうのが目に入って気になると、

それがその後自分に何かの関わりを持ってくるというのは、

不思議な位に自分にあるパターンになっていた。

この日も、列車に乗り込んでコンパートメントに座り込むと、

そのジャグラーが同じコンパートメントに当たり前のように乗り込んできた。

『さっきジャグリングの練習していたね?』

「ああ、どこでもやっちゃうんだよなあ、おれ。」

『それで食ってんの?』

「ああ、ラッキーなことにね。

昨日コペンハーゲンでショウがあって、次はドイツなんだ。

あんたは何やってんだい?」

『音楽だけど、、、、、』

「へー、どんな?」

『ジャズをね』

「それは面白い。こう見えてもおれはアメリカ人なんだ。ジャズなら結構好きかもしれない!」

ヒスパニック系ともなんともつかぬ容貌の彼は、そう言って興味を示してきた。

「もしかして、そのテープは君の演奏かい?」

『ああ、これは自分の曲が入っているよ』

「ちょっと聞いてもいいかい?」

『もちろん』

「おお、、、、、この曲のタイトルは?」

Deep in the Swiss Alps

「おお、、、、、素晴らしいね。本当に山深い風景が浮かんでくるよ」

『え~本当に~?』

「ああ、もちろん本当だよ~」

超自然的なことに憧れながらも、近寄っては遠ざかり、

なかなか何も信じられないできたこの人生で、

少なくとも芸術的なことに携わってきて、

純粋な音楽から風景をイメージできること、

またそういう状況を創出できるものを創ること、

それが究極の到達点であるにも関わらず、

この時は、彼の発言を、嘲笑こそしなくても、

少しでも疑ったような態度をとってしまった気がするのが、

自己否定的でもあり、

また鑑賞してくれた彼を傷つけるような、

矛盾したような行為だったことだと自然に気がつくには、

この頃の自分には程遠かっただろう。

にも関わらず、このあと歓喜の展開があった。そのコンパートメントにはもうひとり、

なぜかアタッシェケースを持ったビジネスマン風の男が入ってきた。

どうやらすでに彼はジャグラーと知り合いだったようで、

昨日の公演の事などを話していた。

そのうちに、彼はデザイナーだということがわかり、

ジャグラーは叫んだ!

「ジャグラーにジャズマンにデザイナー?なんて面白い組み合わせなんだ!」「お前らもやってみなっ!」

気をよくしたジャグラーは私とデザイナーに、

ジャグリングの基本である3つのボールのジャグリングのレッスンを始めた。

なんて寛大なプロなんだ。『で、できるのかなあ?』

私とデザイナーの男は、

夢中になって狭いコンパートメントの中でジャグリングにチャレンジした。

「そうそう、そうやって練習すればだれでもできるようになるんだよ。」

デザイナーもまた無国籍っぽい容貌で、

実際はパキスタン系デンマーク人だったらしいが、

ビジネスマンのようなスーツを着てるのに、

自分より早くコツを掴み始めた。

それもあって自分も負けじとだんだんできるように!

気がついたら3人は同時にジャグリングをしている!

『「なんて愉快なアーティスティックコンパートメントなんだ!」』

3人が歓声をあげる中、列車は西ドイツへとひた走った、、、、、。


70.Jellyfish

      小土肥, Japan

“Béchamp avait raison. Le microbe n’est rien. Le terrain est tout!”

新型コロナウイルスの感染性は、

コッホの四原則が満たされてないから証明すらされてない、

という話から、

過去の様々なウイルスの歴史を紐解けば、

そもそも、

過去の様々なウイルスの中でコッホの四原則を満たしたものはないらしい。

そうなってくると、

「ウイルスの感染性」というもの自体の存在が危ぶまれてくる。

それに対する今までのさまざまなワクチンはかなりの人を副作用で殺してきてはいるけど、

ひとつもちゃんと効いたものがないということが浮き彫りになってくる。

そこで遡ったのが、

ウイルスが外部から侵入して病気を引き起こすという、

そもそもの今のワクチンを作る理由となっている細菌理論の提唱者だったパスツールの話だった。

パスツール自身が、死ぬ直前には、自分は間違っていて、

アントワーヌ ベシャンの細胞理論が正しかった、と言っていたのだ!

細胞理論をベースに考えると、

体の外から病原体が侵入するのではなく、

体調が悪くなった結果として体内に発生するものが病原体だ

ということで、

細胞⇄細菌⇄ウイルスという変化が可能だということである。

パスツールも認めていた「細胞理論」が認められていたら、

感染症という概念すらなく、

ワクチンも特効薬もこの世に登場する必要はなかった

ということになる。

そんなことに思いを馳せていたら、、、

細胞理論の流れを汲む

日本の千島喜久男さんのクラゲの生態に関する驚愕の観察に遭遇した。

クラゲは、

「受精卵→プラヌラ→ポリプ→ストロビラ→エフィラ→成体」

という過程で成長してゆくけど、

成体がもし全く餌のない状態になると、

それでも死ぬということはなくこの成長のステップを、

「成体→エフィラ→ストロビラ→ポリプ→プラヌラ→受精卵」と、

エントロピーの法則に反して逆行して、

「時間の生物的逆行」の旅をするということに辿り着いた。

これは、たまに自分が慣行している「断食」において細胞が生まれ変わった感覚になるということに近いような気がする。

そんな不思議なクラゲといういう存在を意識して、小土肥海岸でクラゲになった気持ちでただただ水に浮いてフワフワしていたことをふと思い出した。。。。。